理事・副学長会議による、吉田寮に対しての文書に関する声明

●経緯

7月28日、吉田寮自治会(以下、寮自治会)に杉万俊夫 学生担当理事・副学長から通達「吉田寮の入寮者募集について」が届いた。この通達は、吉田寮現棟の耐震性不備を指摘し、寮生の生命と安全確保を最優先する 観点から、現棟から全面的に寮生を退去させ、今年4月に完成した新棟への速やかな転居を主張している。また「吉田寮の新規入寮者の募集については、平成27年度の秋季募集から行わないこと。 」と「吉田寮の寮生の退寮に伴う、欠員補充を目的とした募集を行わないこと。 」を主張している。

翌29日、理事・副学長会議は、山極壽一総長の文責で、前日の寮自治会への通達と同内容の文書「吉田寮自治会への通知について」(以下、7月29日文書)を京大HP上で公表した。

同29日、寮自治会と杉万副学長は交渉を行い、その結果「150729 確約書」が両者の間で合意された。

当確約書において、杉万副学長が、確約したことの要点は以下の通りである。

①通達で主張されている新規入寮者募集の停止の一方的決定と入寮募集停止の既定路線化は不当であり、寮自治会とのこれまでの確約に違反していること。

②杉万副学長は、HP上で公開されている通知の撤回に向け尽力し、山極総長を含む団体交渉を設定すること。

翌30日、理事・副学長会議は、杉万副学長の文責で文書「7月30日の理事・副学長会議の協議の結果」(以下、7月30日文書)を京大HP上で公表した。この文書は、新規入寮者募集停止と現棟からの寮生の退去を決定ではなく要請としている。そして、寮生の生命と安全の確保の必要性を再び強調し、2つの措置の必要性を再び主張している。また現棟の在り方に関して、今後寮自治会と共に検討していくとしている。

同30日、寮自治会と杉万副学長は再び交渉を行い、その結果、「150730 確約書」が両者の間で合意された。当確約書において、杉万副学長が確約したことの要点は以下の通りである。

①新規入寮者募集停止は、理事・副学長会議の決定力を持たない提案であること。

②さらにHP上で公表された7月29日文章の撤回のため、杉万副学長が寮自治会と団体交渉を設けること。

●理事・副学長会議による主張の問題点

寮自治会に属する入寮選考権を侵害する行為である。該当確約に違反するものである。

理事・副学長会議は、京大HP上に7月29日文書を掲載した。同文書の中で、今年秋からの新規入寮募集停止の必要性を、同会議は主張している。そして、7月30日文書の中において、この主張は寮自治会に対する要請としている。

しかし、入寮者を募集し、選考する権利は吉田寮自治会に属するものである。これは大学当局との交渉を経て確約を結び、定まっていったものである。最近では 2015年2月12日確約書の項目3で大学当局は合意している。ゆえに、新規入寮募集停止を寮自治会に要請することは、吉田寮の入寮選考権を侵害している し、確約に違反している。

7月29日文書と7月30日文書の公表は吉田寮の入寮募集停止を既成事実化するものである。また、理事・副学長会議の入寮募集停止の要請は廃寮を目指す試みである。

理事・副学長会議は、7月29日文書において、吉田寮の入寮募集停止と現棟からの寮生退去を主張した。そして7月30日文書において、これらを要請とし、廃寮化の意図はないと主張した。

しかし、同会議によって、京大HP上にこれらの「要請」が公表されることは、吉田寮の入寮募集停止の既成事実化を招く。現に、毎日新聞は「吉田寮募集停止を」という見出しで報道しており既成事実として誤解が広がっている。

この入寮募集停止の既成事実化と誤解の流布は、今年秋の吉田寮の入寮希望者に著しい混乱を与える。また寮生・寮自治会にも不安を与え、寮の自治運営を妨害することになる。

自治空間を運営・維持するためには、寮生が継続的に補充される必要がある。新規入寮募集停止は明らかに廃寮化につながるものである。

●これら理事・副学長会議による主張の問題点に関する見解

以上、理事・副学長会議の主張の問題点を列挙した。以下、学友会常任委員会は、これら問題点に対して見解を示す。

・ ①に関して、理事・副学長会議は、吉田寮の自治権の根幹の一つである入寮選考権を侵害し、確約違反を犯している。学友会常任委員会は、京大学内の自治運営 に関わる一主体として、同会議の自治侵害行為と確約違反を看過できない。よって、学友会常任委員会は、同会議に抗議する。

・②に関して、理事・副学長会議は、吉田寮の入寮募集があたかも停止した ような誤った情報を流布させた。これは吉田寮の文学部生、寮生、吉田寮に関係するあらゆる人々に不安を与えている。また吉田寮の自治運営を妨害するもので ある。そして、入寮募集停止は明らかに廃寮化に直接つながるものである。これは自治破壊行為である。また、文学部生のみならず京大に学籍を有する全ての 人々が享受できる福利・厚生施設を破壊するものである。学友会常任委員会は、同会議の自治侵害行為、自治破壊行為を認めない。文学部生を始めとするあらゆ る京大学籍保有者の福利厚生を後退させる行為を認めない。よって、学友会常任委員会は、同会議に抗議する。

2015年8月5日 京都大学文学部自治会学友会(常)

l.gakuyukai@gmail.com

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