副学長情報公開連絡会廃止に対する抗議声明文
川添信介学生担当理事・副学長(以下、「副学長」)は、2016年2月18日の副学長情報公開連絡会(以下「連絡会」)にて、今後この連絡会を廃し、代替の広報活動を行うことを通達した。更に予定されていた3月17日の連絡会を突如中止し、その理由も具体的には示さなかった。しかし連絡会は学生ら当事者にとって、大学内の議事を知るための重要な場である。それにもかかわらず、今回の通達は、川添副学長ならびに学生生活委員会によって学生ら当事者不在のまま一方的に決定された。京都大学 文学部学生自治会 学友会 常任委員会はこの連絡会の廃止に抗議し、通達の撤回と連絡会の存続を要求する。
●連絡会成立の経緯
そもそもこの連絡会は、隠蔽されがちな大学運営上の情報を、学生など直接的な運営から排除された当事者にも公開するために設置されたものである。以下にその成立から今日に至るまでの経緯を記す。
1997年、京都大学当局は副学長制導入・学生部の事務局編入を決定した。これにより学生の交渉対象は学生部長から副学長へ変わり、またそれまで学生の交渉窓口であった学生部が、文部省による管理がより強い事務局の一部署となった。これらの決定は学生ら当事者に何の説明もなく、合意形成の図られない一方的なものであった。当時、当局と様々な交渉事項を抱えていた吉田寮自治会は、当事者不在の重大な決定が常態化することを危惧し、1998年3月3日に宮崎昭学生部長と結んだ確認書の中で、「情報公開の場として、学生部長が参加する連絡会を公開の場で開く(確認事項8)」ことを当局に約束させた。以後も同様に、1998年7月2日の三好郁朗副学長と吉田寮自治会との確約書に始まり、2015年2月12日の杉万副学長と吉田寮自治会との確約書などに至るまで、副学長の参加する連絡会を開き、情報の公開に努めることが約束されている。これらの確約全体の主体は吉田寮自治会であるが、情報公開に関しては学友会も含めた全学的な性格を持つものである。
●連絡会の意義と通達の問題点
学生など当事者の運営に関わる権利がほとんど奪われている昨今の京都大学において、連絡会は学生をはじめとした多様な構成員が運営の上層部にいる副学長に直接質問し、隠蔽されがちな決定以前の情報を引き出すことのできる、非常に貴重な場である。また一方で、学生担当の副学長は不十分ながら唯一の学生らと大学当局との窓口である。定期的に学生らと対面して学内の議事を公開し質疑を受けることは、その職務の上でも外すことのできない重要なものであろう。川添副学長らによる今回の一方的な通達は、このような連絡会の意義を否定しており、副学長の職責を全うするものではない。
また2016年3月15日現在、川添副学長と吉田寮自治会やその他の自治会、有志団体等との間に連絡会に関する新たな確約は結ばれていない。そのため京都大学において効力を有するのは2015年の杉万前副学長と諸団体との確約である。しかし川添副学長は今年2月の連絡会で、歴代の副学長が学生ら当事者と確約してきた情報公開の方法を軽んじるような発言をし、自身はそのような内容の確約書にはサインしないことを明言した。これは明白な確約違反であり、学生らは勿論のこと、副学長という役職をも蔑ろにするもので、およそ責任ある立場の人間が取るべき行動ではない。川添副学長は連絡会の代替として他の情報公開方法を提示したが、これらは全て連絡会とむしろ並行すべきものであり、連絡会を廃止する理由として到底認められない。
●抗議と要求
連絡会の廃止が学生の意見を聞かずに決定されたことは全学の学生ら当事者、ひいては文学部学生の学生生活に不利益を生ずるため、学生自治の一主体として学友会(常)は看過できない。
よって、副学長情報公開連絡会の廃止に抗議し、通達の撤回と連絡会の存続を要求する。
※参考
https://sites.google.com/site/yoshidadormitory/kakuyaku
(吉田寮公式サイト 1998年・2015年確約)
2016年3月15日 京都大学 文学部学生自治会 学友会(常)